働くひとのための心理学のブログ

もっと楽しく働くために、ビジネスに関わる「心と行動」を考えます

自分の人生の主人公は、自分自身である。

55歳を超えた社員に必ず受けて頂く研修の運営を毎年担当していた時期があり、1日目の冒頭に研修講師が必ず受講者に強調するメッセージがこれでした。

「自分の人生の主人公は、あなた方自身なんですよ」

原則として夫婦で参加していただく2日間のプログラムで、1日目はこれまでの職業人生を振り返り「これからどうしていきたいか」を考え、2日目は退職金・年金・社会保険の最新の知識を学びながら平均寿命付近までのファイナンシャル・プランを作っていただく構成でした。終身雇用・年功序列を地で行く大きな会社で、異動や転勤も多いため「今さら主人公と言われても...」というのが大方の受講者の反応でしたが、1日目に自分のやれること・やりたいことを考え、2日目にそのための時間とお金の確保の方法を知ると冒頭のメッセージに納得感が出てくるようでした。

アドラー心理学における「自己決定性」

精神科医・心理学者のアルフレッド・アドラーAdler, A)は、どんな状況・境遇に置かれようとそれだけではその人の人生を決める決定的な要因にはならず、常に人間は自分の行動を自分で決められる(自己決定性)と考えました。

「劣等性や劣等感、生育環境がどのようであろうとも、それだけでは人生は決まらない。その後、建設的(創造的)な行動をとるか、非建設的(破壊的)な行動をとるかは自分で決められる」(岩井俊憲, 働く人のためのアドラー心理学, 2016)

自分で決められると気づいて初めて、自分にとっても周囲にとっても有意義な行動へと自分を導くことができる。どのような状況でもそうした心持ちは失いたくないものだと思います。