働くひとのための心理学のブログ

もっと楽しく働くために、ビジネスに関わる「心と行動」を考えます

「女性は中身が男じゃないと管理職にできない」と社長は言った。

人事部長『春の管理職登用、候補をリストアップしましたがご確認いただけますか?』

社長『...Aはいいだろう。Bはまだ若いからダメだ。Cはいいな、彼女は思考が男だからな。女性は中身が男じゃないと管理職にはできないよ。』

同じ「正社員」でも男女で給与水準や昇進に差があった時代から、男女雇用機会均等法(1985年)の制定を機に、性別の取り扱いが中立な人事制度として主に大企業で総合職・一般職のコース別人事管理が発達しました。しかしある調査によると総合職の女性比率はおよそ1割と低く、女性管理職となると管理職全体の約5%とさらに下がります。

同じ調査で女性活躍を推進する上での問題点を企業に尋ねたところ「活躍を望む女性社員が少ない」とした回答が49.3%で最多であったそうですが、私には調査票を記入した人事担当者の思い込みが大きく影響しているように感じられます。どちらかと言えば、上の社長のように、経営側の男女の性差を捉える目が未だ「男性優位」に偏っているのが原因ではないかと思います。

原因帰属(causal attribution)の性別による差異

日本企業で「管理職には男性が向いている」と思われがちなのは何故なのでしょうか?アメリカの社会心理学者バーナード・ワイナー(Weiner,B.)は、達成動機の高い人と低い人によって成功・失敗の原因帰属の仕方に違いがあると考えました。

原因帰属には「原因の所在」「安定性」「統制の可能性」の3つの要素があり、達成動機の高い人は成功を事故の能力・努力に帰属させる傾向があり、逆に達成動機の低い人は、運のよさや課題の容易さに帰属させ、失敗を自己の能力不足に帰属させると考えられている。

目標を高い水準で達成させようとする「達成動機」は男性に多いとされ、一方の女性は他者との友好な関係を成立・維持させようとする「親和動機」が多いとされます。経営者はいわば自分の身代わりとなって自走し、確実に結果を出す社員が増えれば増えるほど助かりますから、男女を問わず「男性的な」社員を多く登用しがちだというのが真相ではないでしょうか。